営業論 クソ客編

 営業にとって一番のクソ客とは何か?俺は、「金を払わないぞと言ってくる客」こそが一番のクソ客だと思う。見積りばかり頼んでくるくせに一向に注文しないだとか、何度営業しても適当にあしらわれて相手にされないとか、注文が急だとか、そういうのはクソ客でもなんでもないと思ってる。勿論、理想的な客でないことだけは確かだが。

 

1.見積ばかり頼んでくるくせに一向に注文しない(する気がない)客

 繁忙期とか多忙な時期に相手をすると途端にクソ鬱陶しくなる客なのだが、閑散期は良い暇つぶしになるし、思わぬところでメーカーや下請けと繋がる切っ掛けにもなるので、むしろ良い客の部類に入ると思ってる。

 相見積もりを取るだけだったり、メーカー知るためだけに聞いてきたり(挙句、飛び越えて商売しようとする面の皮の厚い客もいる)、ハナから注文する気がない客もいるが、例えそうだとしても自分の働きによってはどうとでもなる。

 相見積もりなら相手より安い金額で出せばいいし、決まるわけがないなら次に繋げるための布石にすればいい。コネ作りに生かしても良いし、その商材が無理なら別の商材で売り込めばいい。飛び越えて商売しようとするならメーカーに釘を刺しておけば良いだけだし、少額なら対応だけして記憶から抹消すればいい。

 むしろ引き合いくれるだけありがたいと思う、そんな客。

 

 

2.何度営業しても相手にされない客

 これはもう最初から営業をかける自分が間違っている、あるいは営業のかけかたを間違えてる。相手にされないということは、既に付き合いの深い相手がいるのか、そもそも客層を間違えているか、自分の営業が下手なのか、いずれにしても相手が悪いということはない。相手の心に刺さらない商材、あるいは自分が悪いだけなので、これに対して愚痴を言うのはお門違い。

 

 

3.注文が急な客

 これは結構クソポイントが高いのだが、注文くれているだけマシだったりする。ただし、後述する「注文が急なくせに金払いが悪い客」はドス黒い感情湧き上がるクソ客なので要注意なのだが、注文が急なだけならまだいい。

 注文が急な客を相手していて困るのは、こちらで用意している段取りが狂うことだ。であればそれを正直に伝えるしかない。ここで下手に曖昧な受け答えをしたり、無理やり何とかしようとすると墓穴を掘りかねないのだが、正直に「今からだと間に合わない可能性が高いです」「なんとかやれるだけやってみます」と、必要最低限の会話だけで、こちらは精一杯やってみるとアピールする。

 大半の客は、自分のオーダーが急であることを理解している。何とか出来ればそれでよし、なんとかならないなら逆にいつまでかかるのかを知りたいのだ。だから、通常通りの対応をしてみて、ダメならダメと素直に伝える。ダメだが、いつならなんとかなるという旨を伝え忘れないように。

 ただし、一部の客は、自分のオーダーが急であることを理解していない。自分が上、お前は下、そんな意識で対話に臨んでくる相手とまともな会話が成立するはずがない。それでも商売である以上は折れねばならないところは折れるしかないのだが、無理やり何とかしようとすると相手は「なんだ、なんとかなるじゃん」と意味の分からない勘違いをし出すので、あくまで平常通りの対応で十分。ムリですと伝えて尚言ってくるようなら、伝家の宝刀、見積もり以上の金額がかかりますと伝える。それで殆どの客は引き下がるか、金を払うからやってくれのどちらかになる。金をもらえるならなんとかなることが多いので、そこから無理やりなんとかしようとすればいい。

 

4.「払わないぞ」と言う客

 俺が最も嫌いでモストオブクソだと思ってる客。それが「金を払わないぞ」と言ってくる客だ。これはもうガチで100%クソで間違いない。振り込みの遅延やミスが多かったり、専用請求書があって請求が面倒くさかったりだとか、そんなものはしっかり満額払ってくれるならどうでもいい。事務や経理が嫌がるだけで、払うべきものを満額払ってくれるなら営業としては文句はない。

 しかし、何かにつけて後から値引きを要求してきたり、あまつさえ「払わんぞ」とトチ狂った理論をぶつけてくる客には、一家諸共鏖にしてやろうかと思うくらいの殺意が沸く。

 無論、次の仕事につなげるためのアフターケアは大切だし、落ち度があるならそれは真摯に対応しなければならない。しかし、3で書いたような急なオーダー変更があった場合や、納品した後で重箱の隅をつついて「言われてない」「聞いてない」「説明するのが当たり前」だの我儘を言い、挙句の果てに「払わない」は役満である。

 ここで気を付けなければならないのは、「言われてない」「聞いてない」「説明するのが当たり前」に関して、「言った」「聞いてないのはお前の都合」「説明しなくても分かるだろ」などと言う対応を取ってはいけない。言った言わない問題に関しては次から書面でのやり取りを徹底する、「説明するのが当たり前」に関しては極力イチからの説明を心掛ける、などしっかり対応しなければならない。

 だが、「言われてないから払わない」「聞いてないから払わない」「説明されてないから払わない」というのは、こちらにも同じことが言えるはずだ。「質問されてないから答えてない」「納得いただいたからこそ契約したはず」が通用せず、一方的に納品後に金を払わないぞと言ってくるのは対等と見ていないからに他ならない。

 といっても、払わない選択はないのだ。モノの流通上、上位に立つ者が強いのは当たり前なのであり、買った側は金を払わなくては次の仕事の時に自分の首を絞めるだけだ。だからと言ってモノを売る側が殿様商売をしても良いというわけではないが、お互いに歩み寄らずに良い商売など出来ない。次からお互い気を付けようという大前提の下、両社の妥協点を探っていくというのが当然の流れであるのに対し、客側から「払わない」と言ってくるのは明らかにおかしいのだ。「値引いてくれないか」ならまだ分かるが、「払わないぞ」は殺してやろうか手前となる。

 要するに、不払いをダシにして値引きを強要、あるいは過剰な値引きを要求しているのだ。我々売る側の人間も、仕入れ値もあれば人件費もかかっている。1円も回収できないという事態は大赤字に直結するし、先に述べたように客側も払わなければ最終的に孤立して仕事が出来なくなる。とどのつまり払わざるを得ない事態に対し、規模の大きい販売会社側に対して逆圧力をかけてくるというのが脳味噌お花畑というか、事態の解決にかかる人のコストを考えてない迷惑野郎なのだ。

 

 

 

 くどいようだが、いくら立場が上とはいえ殿様商売は良くない。相手の立場に立って真摯に対応をしなければならないのだが、二言目には「払わんぞ?」と言ってくるクソ客の対応のせいで心身共に辟易しているので殴り書いた。じゃあもう払わなくていいよ、と俺は思うのだが、そうなると「あいつは自分の客の対応すら満足に出来ん」と思われるので個人営業という仕組みそのものもクソよなーと思う。