カメラを止めるな!感想 ネタバレあり

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 一か月くらい前から一部映画界隈で何やら話題になっていた本作。見に行きてえなあと思っていたんですけど、名古屋だと名駅のシネマスコーレしかやっていなかったし、なかなか時間が取れず見逃してしまっていたところ、気付けば全国のシネコンでも上映されるほど話題になっていたようで、見てまいりました。

 

 ちなみに本作は撮影8日、予算250万円で撮られたいわゆる低予算映画で、当初は全国で2館しか上映されてませんでしたが8月8日時点で139館で上映されているらしいです。低予算映画が人気を博すと言えばブレアウィッチプロジェクトを思い出しますが、はっきり言って俺はあれはあまり好きじゃなかったし、本作もそうなんかなぁと思って見たわけですけどいい意味で予想を裏切ってくれました。

 

 まぁぶっちゃけ俺のブログなんか見てる人もかなり限られるし映画批評ブログってわけでもないので気にせずどんどん感想書いていきますけど、もしかするかもしれないので一応続きを読む系にしときます。

 

 

 つーわけで。まず開始30分くらいは素人が撮ったような映画を見させられます。キャストも誰が誰だか分からんし、最初は「なんやこれは。。。」と思ってたんですけど、10分くらい経ってから「あれ?カットしてなくね?シーンの切り替えないよな?」と気付いてからは「あ、これが評判良いのかな?」と思って楽しんで見れました。

 

 そうなんですよ。まず本作は低予算映画なので大御所俳優なんかは一切使ってません。監督、女優、男優、以下誰一人見たことも聞いたこともない人ばかりでした。まぁ俺が無知なのかもしれませんけど、少なくとも映画オタクでもない普通の人からしたら絶対知らないと思います。

 

 で、そんな誰かも分からん人たちの、素人同然の映画を見させられる。ただ、普通の映画(やドラマ)はいくつもシーンをカットして切り貼りして動画にする(カット!って監督がカチンコするアレ)んですけど、10分くらい見てて思ったのがそういうのが一切なかったんですよね。

 

 これは「長回し」とか「ワンカット」と呼ばれる結構珍しい手法で、普通はこれをやりません。理由は簡単で、後から編集するのが大変だしセリフを咬んだり演技を失敗した時にもう一度最初から取り直す羽目になるから。

 

 でもそれをゾンビ映画でやっている。ゾンビ映画と言えばメイクしたり血糊を塗ったり模型を使ったりと、どこかでそういう時間を設ける必要がある。つまり長回しで撮るなんて狂ってるんですけど、でもそれなりに見れる映像になってるってことは裏方での頑張りがあるんだろうなーとか思いながら見てたんです。

 

 途中でカメラマンが写ったり消えたりしたり、不自然なほど間延びするシーンがあったりしたのもご愛嬌だと思っていたんですが、ところがどっこい!これが伏線でした!!!

 

 いや、伏線っていうほどのものでもないんですけど、冒頭ゾンビが出てくるシーンとかでハゲのオッサンが居たり居なくなったりしてるのが不思議だったし、趣味の話や護身術のポン!をしてるところとか、カメラが落ちて動かなくなるところとか、廃倉庫から出てきた時の不自然な斧の見つけ方とか、叫び続けてる謎のシーンとか、もう至る所に不自然なシーンがあったのが、実は全て繋がっていたし、そうせざるを得ない事情があったという背景までバッチリ作られてるのが素晴らしかった。

 

 伏線を貼るだけならだれでも出来るんですよ。それっぽいことやっておけばいいので。ただ、その伏線の回収の仕方、どうしてそういう伏線を貼らざるを得なかったかっていう正当性を持たせるのはすごく難しいと思っていて、この映画は確かにキャストもパッとしないし舞台も脚本も映像もパッとしないんですけど、そこを工夫して面白くしてるって部分に正直感動しました。

 

 これはこの頃つくづく思うんですけど、綺麗な映像を見るだけなら映画じゃなくてもいいんですよ。脚本やストーリーや音楽にしたって、たかだか1時間半だか2時間だかで紡がれるものより20時間も50時間もかかる大作RPGの方が絶対良いんですよ。絶対そっちの方が記憶に残るし、「あー良かった」以上の感想を抱けるんです。

 

 だから俺は映画ほど大作にこだわる必要はないと思ってて、限られた時間の中でどれだけ綺麗にまとめるかが映画の良し悪しに直結すると思ってます。この「カメラを止めるな!」は本当に綺麗にまとめてくれた。見終わった後の清々しさたるや、「ショーシャンクの空に」以来じゃねえかってくらいの清々しさでした。

 

 ただ。

 

 一緒に見に行った嫁さんにどうだった?と聞いたら微妙…と答えてました。いい映画だったとは思うけどもう一度見たいか?とか誰かにお勧めしたいか?と言われたらNOだと。

 

 どうしてなんだろうと思ったんですけど、結局映画としてはパッとしない作品なんですよ。CGもない、SFXもない、音楽も特に印象に残らない、俳優も知らない女優も知らない監督も知らない、どれだけ中身が練られていても所詮は250万円の映画なので、映画としては全く映えないんですよね。テーマも家族愛?映画愛?どちらも含んでるんでしょうけど、合衆国を、大陸を、七つの海を、世界を、地球を、宇宙を舞台にしたものに比べればほんとにちっぽけな映画です。

 

 だからそういう映えない映画、つまりこじんまりとしたヒューマンドラマを受け入れられるかどうかってのがこの映画を楽しむ上でかなり重要なんじゃないかなと思ってます。俺はヒューマンドラマ大好きで、むしろ超大作と呼ばれる荘厳美麗な映像音楽キャストをふんだんに使った映画はどちらかと言えば嫌いなので、本作はまさにジャストでした。

 

 なので、そういう映画が好きな人は絶対楽しめると思います。少なくとも一見の価値はあります。ぜひどうぞ。

 

 

 

劇中で監督の娘が来てたシャイニングのTシャツめっちゃ欲しくなって家帰って調べたんですけど売り切れでした。