「レヴェナント 蘇りし者」うーんクソ

 今更すぎるんですけど、レオナルド・ディカプリオ主演「レヴェナント 蘇りし者」見てきました。すっげーどうでもいいんですけど、どうして邦題になるとこういうクソダササブタイトルが付くんですかね。なんやねん「蘇りし者」って。「レヴェナント」だけでええやん。レヴェナント自体に戻ってくるとかそういう意味あるのに二回言ってどうすんねんって思います。

 

 前置きはさておき早速感想なんですけど、うーんイマイチ。以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

トンデモ演出すぎる

 このレヴェナントは実話を基にした映画となっていて、舞台は19世紀アメリカ北西部・・・つまり地球上のお話です。そこで先住民に襲われたりクマに襲われたりしながら命からがら生還し、息子を殺して自分を見捨てた怨敵に復讐するというお話なんですけど。その演出があまりにもブッ飛んでて、実話ありきのフィクションっていうイメージが全く湧かないんですよね。

 

 この映画の「熊との戦闘シーンが壮絶」みたいな感想をよく目にしますけど、まぁ確かに壮絶っちゃ壮絶ですけど三毛別羆事件のこと知ってからそれ言えます?って感じでした。最近だとゴールデンカムイとかで熊のヤバさが強調されてるのもあって、あり得ねーって感じの印象が強かったですね。

 

 って書くとイキリオタクみたいな感じがしちゃうんですけど、そんなにバカデカい熊ではなかった(体長2m弱?)ですし、ギリギリ勝てそうって意味では壮絶な戦闘シーンであることは間違いないんですけど、グラスが撃った銃弾はどこに当たってどういうダメージを与えたのか(そのあと普通に突っ込んできてたよね)とか、最終的にはナイフで止めを刺してたけどどこに刺してたのかとか、あの分厚い毛皮と皮膚をあんなナイフみたいなので刺すってすげえことですよ。もっと詳しく描写して欲しかった。

 

 それはさておき、勝てたもののその怪我が基で身動きが取れなくなり、息子を目の前で殺され仲間には見捨てられというシーンがあるんですけど、どう考えてもそこで死ぬんですよね普通は。だって、人間は生きてるだけでも1日2000キロカロリー程度を消費してるんですよ。あんな極寒の地だったら尚の事消費カロリーは多いでしょうし、身動きが取れずに食事も出来ない状態だったら絶対1日も持たないですよ。よしんば携行食を大量に残してくれている状況だとしても、体力が落ちて消化能力も落ちてる状態であんな風に生きながらえることはまず無理ですよ。

 

 まぁ、仮に超人的な体力と回復能力があって、あの場を凌いだとしてもですよ。作中で、極寒の川の中に平気で入って行ったり、あるいは流されていったりしていますけど、いやいやあり得ねえだろと。これ、どっかで見ただけでソースは確かではないんですけど、人間は0度近い水温の水に浸かっている状態だとものの3分で体力(熱量?)を奪われて死ぬらしいです。

 

 実際3分で死ぬのかどうかはさておき、真冬の川に浸かって数分泳いでみたらまぁ間違いなく風邪をひくと思いますし、すぐに暖を取って服を乾かさないと死ぬんじゃないですかね。もっと言うと体中に傷を負っている状態で、歩くことは出来ても走ることもままならないような状態だったら岸に上がるのも一苦労だと思います。

 

 なのに、ブーツ履いたまま川の中にジャブジャブ入っていって魚は取ってくるし、敵から逃げる為の不可抗力とは言え川の中に率先して潜っていくし、やってること滅茶苦茶なんですよ。これがね、特攻野郎Aチームとかそういうハチャメチャ映画なら文句は言いませんけど、実話をもとにしていて映像美をウリにしているっていうなら、もっと真剣に自然環境や人間という生物と向き合ってもらいたかった。科学的な監修入ってなさすぎるだろ。

 

 そのくせ、死んだ馬の内臓くり抜いてその中に入って吹雪をやり過ごすシーンがあったり、いやお前もっと他にも色々気を使うべきシーンあったやろって。見捨てられるのがあんな雑木林の中じゃなくて洞穴とかだったら俺も突っ込まんかったやん。もうちょっとなんかあっただろ。

 

 あとは感染症。いくら極寒の地で雑菌が繁殖しにくいとはいえ腐るモンは腐る。実際、作中でポーニー族の一人から「体が腐ってきている。処置をしなければ」みたいな事言われてたけど、うーん普通に考えたらもう手遅れなんじゃないすかね。どれくらいの時間が経ってるかは分からないけど、あれだけ疲弊しきった肉体がある程度回復するまでの時間が経過していると考えると一ヵ月以上は経っていそうだし・・・いや、一ヵ月もそもそも体が持たんか・・・ってことは半月やそこらで傷と体力を癒したことに・・・バケモンやんけ・・・。

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これらの要素、いる?

 おそらく政治的な配慮もあって登場させたんでしょうが、作中には二種類の先住民が登場します。フランスと取引関係にあるアリカラ族(作中では主人公一味と敵対関係)とポーニー族(主人公も妻の出身。息子もその血を引く。作中で助けてくれる)ですが、はっきり言ってこの先住民要素要ります?無駄に話をややこしくしているだけというか、別の要素で置き換えた方がスムーズに話が運べたと思うんですよね。

 

 俺は映画監督でもないし映画関係者でもないので具体的にああしろこうしろって言う筋合いはないですけど、もっとアリカラ族と揉めるのかと思いきや主人公を見捨てる要因にしかなってないし、ポーニー族の解説もまぁ要らんかったんじゃないかなと。

 

 フィッツジェラルドも。怨敵として登場するフィッツジェラルド、この名前を聞いた時に「ん?小説家のフィッツジェラルド?あれ?」って思っちゃったんですよね。一応史実を元にした映画って聞いてたし、フィッツジェラルドはアメリカ人だし、確か90年代くらいだから時代的にも合ってる?いやちょっとズレてる?あれ?って思って調べたら全然関係ない人物でした。紛らわしいからやめろやボケ。もうちょっと別の名前にしろ。

 

 あとは息子ですね。グラスは息子であるホークを大事に思っていたようなんですが、作中見るにどうもそんな気配がないんですよ。「息子の命を狙った少尉を殺した」みたいな話が息子の死後(物語終盤)でちょろっと出ますけど、息子が死ぬのは序盤だし、それまでに妻や息子の話が出てきたかって言われると全然出てきてないし。「白人はお前の肌を見て差別する。俺の言う事を聞け」、くらいしかまともな会話してない気がする。ホークもホークで、「ベリッジャーたすけて~」って叫んでただけだし。一応敵地なんだから叫んだらあかんやろ。俺がジョン・フィッツジェラルドの立場でもカッとなりますよ。結局ベリッジャーには聞こえてないし、ほんまお前何しに出てきてん。

 

 

 

綺麗な映像?ゲームをやれ。

 最後に。舞台となっているルイジアナの美麗な自然が目玉でもあるわけだが、確かに綺麗といえば綺麗だ。でもその綺麗な自然は遠目で見るからこそ美しいのであって、主人公にフォーカスを当てて見続けていれば単なる白と灰色の背景でしかない。

 

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 ここ最近切に思うのだが、CGによる美麗な描写は実写に迫りつつあるし、時として実写を超えることがある。勿論、良くも悪くもリアリティという意味では実写を超えることは出来ないだろうけど、シーンを絞った美しさという点では最早実写はCGには勝てないところまで来ているのではないか。

 

 そういう意味では、レヴェナントの売り文句の一つである「美しい自然」というのもどのあたりがどう美しかったのか語って聞かせてもらいたいところである。だって、雪降ってるだけやん。まぁ中盤の、広大な雪原を一人で歩いているシーンは確かに美しさを感じたが。

 

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 風ノ旅ビトより。「シーンを体験する」という点においては、もはやゲームの方が映画より上を行ってんじゃねえかなって思う。

 

 

 

まとめ。あまりにも現実離れしすぎている

  これがね、ロードオブザリングとか、もう明らかに別の世界のお話ですよって言うなら結構面白かったと思うんですよ。ただ、実話を基にした映画って言うなら、もうちょっと科学的な検証とかあってもいいと思うんですよね。途中から色眼鏡でしか見れなくなってて、「ハイハイ凄い凄い」って感じでしか楽しめませんでした。まぁ原作があまりに盛りに盛ってたのかもしれませんけど・・・。

 

 一通り見て気になったのはこれくらいなんですけど、ただ監督であるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは一癖も二癖もある映画を作ることで有名で。考え方によってはもっと違ったモノの見方が出来るんですよね。

 

 仮にイニャリトゥ監督が親子愛だのキリスト教だのを伝えたかったのだとしたらレヴェナントを題材に選ばなくてもオリジナルで脚本作れば良かったんじゃねーのって思うし、「生と自然」にスポットライトを当てるならもっと自然科学を監修してどうぞって感じなので、個人的には何がやりたかったのかさっぱり分からない駄作なんですよね。

 

 ただ、嫁は絶賛してましたし、世間の評価も悪くないってんで、どうでもいい映画ではないことは間違いないんじゃないかなと思います。実際、レオナルド・ディカプリオの演技は役に入っててかなり良かったと思いますよ。ただまぁそれ以外がクソだったってだけで。個人的にはウルフオブウォールストリートのディカプリオが至高なんですけどね・・・。